24ページ 輝(キラリ)人 第157回 県農業農村指導士に認定された 田村真理子(まりこ)さん 41歳 五百森  盛岡農高、秋田県立大学短期大学部(園芸専攻学)卒業後、秋田市内の生花店勤務を経て帰郷。両親、姉と「楽しく、明るく、雰囲気良く」をモットーに、10アールのハウス3棟でさまざまな野菜作りに取り組む。最近は、地域の人に教えてもらったPPバンドのバッグ作りにハマっている。夫と小学4年生の息子、5歳の娘と4人暮らし。「市内の学校給食に、うちの小松菜を提供しているのは誇りですね」と胸を張る。 農業のハードルを下げ、次世代への架け橋に  「若い人たちに『農業は楽しくできるから、一緒にやろう』って声を掛けて、もっと活気のある農業界にしていきたいですね」と和やかに話すのは、本年2月に県農業農村指導士に認定された田村真理子さん。両親らと共に、野菜苗の育苗のほか、ちぢみ小松菜、菌床シイタケ、水稲など年間を通して作物づくりに励みながら、さまざまな活動を通じて地域農業を明るく盛り上げている。  3姉妹の末っ子として専業農家に生まれた田村さん。短大卒業後、県外の生花店で働いていたが、姉2人の結婚を機に、平成23年に帰郷した。「繁忙期の家業を手伝っているうちに、そのままずるずると、ここまで来たっていう感じ」と振り返る。  帰郷した当時、農作業時に着る服といえば中学校時代のジャージしか思い浮かばなかったという。結婚後も実家に通って農業に従事する2番目の姉が、おしゃれな普段着で働く姿を見て「農業ってきれいな格好でもやれるんだ」と気付いた。自身も農業に従事しながら「自分みたいに自由な格好しながら農業できるんだよって、他の人にもPRしたい」と農業青年クラブやJAの青年部に加入。若手女性農業者の珍しさに、明るい性格も相まって、メディアで紹介される機会が増えると「注目してもらうことで、農業のイメージアップや、女性も前に出て活躍できる」ことを伝え、就農へのハードルを下げる役割を担ってきた。子どもが生まれ、仕事との両立の大変さを知り「女性も前にって言い過ぎたと反省している部分もあるんですけど、そこはずっと変わらない思いです」とも。  また、以前に勤務した生花店で担当した商品陳列や接客などの経験が農業にも役立っている実感もあり「どんな職業の経験も農業に通じる。一度社会人を経験してから就農しても遅くない」と自身の歩みを交え、多様なキャリアから就農する経験を広く伝えている。  高齢化が進み、子どもに経営を引き継ぐ人や離農する人が増える中「農業に熟練した大先輩と、今、経営を担っている世代、これから継承する世代の3者が集まり、技術や悩みを共有する場を設けたい」と言う。「親子だと聞きにくいことも、他の人には聞けたりする。野菜作りだけでなく、手作りほうきや農作業用のかご作りなども同じで、地域の人が持っている農業や暮らしの知恵や技術も、受け継がなければ途絶えてしまう」という危機感からだ。  「周囲から、とても信頼されている両親に育てられた。農業農村指導士の役割にとどまらず、私も周りの人にとって、相談しやすい存在でいたい」という田村さん。「市認定農業者協議会の会長を務める父が持つたくさんの技術や知識は、これから詰め込みます」と謙虚に笑いながら、持ち前の明るさと行動力で、農業に向き合う。 編集後記  松尾鉱山資料館だより(20ページ参照)の編集を担当していることもあり、お盆期間中には、松尾鉱山の大露頭を発見した佐々木兄弟の和七さんのお墓の前でも手を合わせました。  毎年、秋の紅葉シーズンに合わせて企画展を開いている資料館には「へー、そうだったんだ」と感じる展示が多数。お出かけの際には、ぜひ立ち寄って見てください。(智)  「子どもの活躍は親の財産」。キラリで取材した田村さんが好きな言葉で、それは父の道行さんが昔、言っていた言葉とのこと。田村さんも、お子さんの活躍を見て、それを強く感じたそうです。技術だけでなく、家族の温かい絆や愛情も受け継がれていくのだと感じました。(千)