24ページ 輝(キラリ)人 第156回 ふるさと納税返礼品にシャインマスカットを提供 佐々木ぶどう園代表 佐々木明(あきら)さん  73歳 両沼 「冬の間はいろいろな本を読んで勉強してる。苗木のカタログを見るのもとても楽しい」と笑みを浮かべる佐々木さん。時期をずらして収穫したいと、桃や梨なども植えている。冬を超えれば続々と花を咲かせ、薬剤散布などの作業に追われるが「苦労とも、大変とも思わないね」とも。「無理しないで」と健康を気遣ってくれる妻、愛犬と暮らす。 試行錯誤を10年以上 シャインマスカットが全国に  「県外に住む息子から、『立派なシャインマスカットだから、返礼品に出したほうがいい』って勧められて」と語るのは、ふるさと納税への返礼品取扱事業者として新たに登録した佐々木明さん。10年以上前からシャインマスカットをメインに果樹栽培を手掛け、本年もブドウ棚に、力強い粒を実らせている。  もともと、親は農業を営んでいたが、自身は会社勤めをしていた佐々木さん。60歳での定年退職が視野に入り始めたころ「老後を生き抜く準備をしなければ」と、資格取得に取り組む傍ら、一人で取り組める道を模索した。  面積当たりの収益性が高い果樹栽培に着目し、農地を再整備して準備を始めたが「果樹栽培は手探りでゼロからのスタート。周囲から『何をしているのか』と聞かれて、目的を明かすのが恥ずかしかった」と振り返る。  ブドウの苗木を植え、定年退職後は会社の嘱託職員として働きながら、本格的に栽培を始めた。当初から栽培し、今では主力となっているシャインマスカットは、カタログで、売れ筋として紹介されていた品種。植え付けから3年後に初めて「道の駅にしね」に商品を並べると、甘く、大粒で美しいシャインマスカットはすぐに売れるようになったという。「ちょっと油断すると、畑は大変なことになるし、ブドウもすぐに大きくなる。朝は出荷しないといけないし、会社にも行かなければいけないし、あの時は、チョー忙しかったよ」と当時を思い出す。  「『立派なブドウだね』と言われわれるとやっぱりうれしい」という佐々木さん。「単にブドウが出来たということじゃなく、お客さんに喜んでもらって初めて成果になったと言えるんじゃないかな」と力を込める。  現在の作付面積は20アールで、うち約半分にシャインマスカットを作付けしている。理由を尋ねると「やっぱり需要があるからね」ときっぱり。「自分としては他の品種も売ってみたい気持ちはあるけど、お客さんの声に耳を傾けて、求められているものをメインに作らないと」と思いを口にする。  並行して別品種やブドウ以外の果樹栽培にも積極的に挑戦している。「プロ野球と同じ。今はレギュラーでも、来年はどうなるかわからない。常に勉強して取り組むしかない」と前を見据える。  「もともとは、年金以外の生活費を稼ぐってことから始めたこと。家族を守るため何とかしようっていう一心だよ」と力を込める佐々木さん。「失敗したら植え替えて、またやり直せばいい」と、定年退職後を見据えた挑戦から始まった試行錯誤の結晶は、新たな名品として本市から全国に届けられる。 編集後記  移転後の市立図書館は「おしゃべりOK」な図書館という考えで運営されます。うるさく騒ぐのはNGですが「静寂のための緊張感」は和らぎ、肩の力を抜いて過ごせる場所になりそうです。とはいえ、落ち着いた雰囲気の中で読書をしたい人もいると思います。互いを思いやり快適な居場所にしたいですね。(智)  キラリの佐々木さんを取材しました。ブドウ棚には、輝くような若緑色の粒が、実を寄せ合うように、房をなしていました。壮観で美しい光景にとても驚きました。道の駅にしねに毎年出荷しているとのことでしたので、楽しみに待ちたいと思います。(千)