24ページ 輝(キラリ)人 第155回 自作のレンガ窯と天然酵母で古代小麦のパンを焼き上げる 農家パン VERUM代表 羽沢茉奈(まな)さん 34歳 五日市3区 長野県山ノ内町出身。「なるべくロスなく」という思いから、パン販売は、基本的にオンラインでの予約販売としている(発送または工房での引き渡し)が、毎週水曜日には大更郵便局の空きスペースを借りて出張販売を行っている。「焼きたてよりも、少し時間を置いて粗熱が取れたほうが、小麦本来の味がしっかり感じられる」と商品の魅力を話す。 力強さと独特の風味を多くの人に知ってほしい  「お客さんの息子さんが、誕生日に、自分のパンをリクエストしてくれたと聞いて、とてもうれしかった」と、はつらつとした表情を見せるのは、令和7年1月から、古代小麦で作ったパンを販売している「農家パンVERUM」代表の羽沢茉奈さん。人工的な品種改良がほとんど行われていない小麦の原種を使い、小麦の製粉から、焼き窯用の薪割りなど、パンづくりの全工程を一人で手掛けている。  専門学校で柔道整復師の資格を取得した羽沢さん。働きながら英語を学ぼうとワーキングホリデーで訪れたカナダトロントでの生活が、人生の転機となった。滞在期限もある中、自分は将来どうしたいかを考えるうちに「人を幸せにするのは『食』ではないか、という思いが芽生えた」という。  帰国後、母親がパン教室を開いていた幼少期の記憶も手伝い、パンづくりに取り組もうと決めると、修行先には「日本一のパン激戦区」と言われる京都を選んだ。直談判で働き口を見つけ、朝から晩まで働いていた中、修行先から、古代小麦のサンプルを譲り受けた。独特の風味に加え、グルテンの含有が少ないといった特徴に興味を持ち、試しにパンを作ってみると、香りも食感も「今までのものと、すべて違った」と当時を振り返る。「知ってしまった以上、もう、これ使うしかないっしょ」と、将来、独立したら古代小麦でパンを作ると心に決めた。  父の実家、八幡平市に移住したのは令和6年3月。自身の出身地の長野県に戻ることも考えたが、父が取得していた実家近くの「蔵」に加え、農機具や畑など古代小麦の栽培環境もそろっていて、独立、開業を考えると「いろいろと条件がよかった」と振り返る。  蔵をリフォームし、5カ月をかけ自分の手で築いたレンガ窯で焼き上げるパンの材料は、有機古代小麦と水、塩のみ。前回の生地を少しずつ継ぎ足して育てる天然酵母は、季節や気温、水温によって状態が変化するため、毎回が試行錯誤の連続だ。  挑戦している古代小麦の栽培は本年で3年目を迎えた。「今年は密集して植え過ぎて、茎が細くなっちゃって」と苦笑い。今はドイツから輸入した古代小麦を使い、製粉段階から自身で手掛けているが、将来的には、自家栽培した有機古代小麦との併用や切り替えを見据えている。  古代小麦で作ったパンの良さを「もっと知ってほしい」という羽沢さん。「健康的っていうと『意識が高いね』って、ひとくくりにされちゃうけど、線引きせずに、まずは手に取って、風味の違いを感じてもらえたら」と、まっすぐな視線で呼び掛ける。 編集後記  8月8日(土曜日)という、八幡平市らしい日(八幡平市の日)にオープンする市交流複合施設「8テラス」。子どもたちと撮影に入らせてもらいましたが、大型遊具を前に、さっそく歓声が聞こえてきました。平成30年に大更駅が新しくなり、駅東側には市立病院が令和2年に移転しています。8テラスを核に、にぎわいのあるエリアになってほしいと感じました。(智)  キラリの羽沢茉菜さんを取材。まき割りや製粉など、パンができるまでの作業の多さに驚きつつ、地道な作業をていねいに行うからこそ、おいしいパンができるのだなと感じました。早速、オンラインで羽沢さんのパンを注文。家に届くのが楽しみです。(千)