24ページ 輝(キラリ)人 第154回 八幡平コーヒー 店主 菊池春夫(はるお) さん (柏台二丁目) 南寄木出身。八幡平コーヒーは「八幡平物産館あすぴーて」が開館している春から秋までは同施設前で、冬季は「道の駅にしね」で提供している。ともに不定休。 趣味を尋ねると「これが趣味、おいしいコーヒーを淹れること。でも、本は読むほうかな。今は東野圭吾さん」と、置いていた『透明な螺旋』を引き寄せ、笑みを浮かべる。 アスピーテラインの麓で くつろぎのひとときを  「若い人が『珍しい』って言って、みんなスマホを向けてくるよ」と声を弾ませるのは、八幡平アスピーテラインの玄関口にある「松尾八幡平物産館あすぴーて」前で、来訪者にサイフォン式のコーヒー販売を始めて23年になる菊池春夫さん。「お客さんの目の前で、サイフォンからコーヒーを注ぐととても喜んでくれる」と目を細める。  20代の頃、都会でバーテンダーとしての修行を積み、帰郷後は、柏台でスナックを営んでいた。一つの場所で、昼はレストラン、夜にはスナックを営業しようと、前もって購入していた土地に自宅兼レストラン「LAMP(ランプ)」を平成元年にオープンすると、メニューのコーヒーは、自身こだわりのサイフォン式(蒸気圧で熱湯を押し上げ、コーヒー粉を浸しコーヒーを抽出する方法。理科の実験のような見た目と、熱々の温度、香りの高さが特徴。)に決めた。「私ね、学生のときに、気取ってさ、自分でサイフォン買ってコーヒー淹れてたんだよね」と当時を振り返る。  平成16年に、レストラン業務のほとんどを後継者に引き継ぐと「自分は、自分ができることを」と、松尾八幡平物産館あすぴーての組合に加入し、物産館前に店を開いた。販売するのは、オリジナルブレンドの豆と日本名水百選「金沢清水」の湧水を使い、サイフォンで抽出するこだわりの一杯。「八幡平コーヒー」と名付けた。  器具をセットすると、ポコポコと湯が沸くフラスコから蒸気が上がり、ロート内に広がる琥珀色のゆらめきに、じっと目を凝らす菊池さん。「出来上がりを見逃すと、苦味が出たり、酸味が強くなったりする。目視での見極めが大事」と、控えめながらも力が込もる。  今では、ドライブの途中にわざわざ立ち寄ってくれるファンも多く「ついさっきも、リピータのお客さんが、声を掛けてくれた」と声を弾ませる。  「いろんな人と、顔を見ながら話ができるから、立ち仕事も苦じゃないね」と菊池さん。「もう歳だから、新しいことに取り組もうっていうよりは、目の前のコーヒーに没頭するだけ」とも。  「市を訪れたら、ここで、ほっと一息ついてほしいし、自分が淹れるコーヒーのとりこになってくれればうれしいかな」と菊池さん。飾らない笑顔で今日もお客さんを迎える。 編集後記  運動会、消防操法訓練大会、中総体、消防演習と、毎年この時期は、いつも以上に土日が大忙し。これまでの中総体では、懸命にボールを追う姿に心打たれ、想像できないような大逆転劇など、鳥肌の立つような場面に何度も遭遇しました。取材後の編集作業は一苦労ですが、どんなプレーが見られるか、今年も楽しみです。(智)  キラリで菊池さんを取材。サイフォンを使い、コーヒーを抽出する作業を、初めて間近で見学しました。ガラスの中にじんわりとコーヒーが満ちていく様子に、思わず釘付けになってしまいました。自分のために淹れてもらった一杯が、とても贅沢なものだと感じました。(千)