2から3ページ  浅沢神楽 50年の先へ  浅沢神楽まつり(浅沢神楽保存会、浅沢コミセン主催)は、5月4日、浅沢神楽伝承館で行われました。  市指定無形民俗文化財「浅沢神楽」の保持団体である同保存会は、昭和50年に結成され、昨年9月で50周年を迎えました。例年より演目を増やして開いた本年のまつりは、多くの観覧者でにぎわい、演目のたびに会場から大きな拍手が送られました。  「皆さんのおかげで、浅沢神楽を、多くの人に見てもらうことができました」と安堵するのは、浅沢神楽保存会会長の小山田和義(かずよし)さん。「この先も、神楽が若い人に、ずっと引き継がれていけばいいなって感じました」と、演目が進む舞台を見ながら、思いを語ります。  例年、近隣市町の神楽団体も招き、半日の日程で開いている同神楽まつり。今回は、浅沢神楽保存会結成50周年を記念し、披露する演目を増やして1日開催とし、10の演目が披露されました。 ルーツは山伏の舞にあり  鎌倉時代、山伏の一行が現在の二戸市浄法寺町飯近(ねづか)に居住し、神社を建立した際、城主と領民の安泰などを祈願して奉納した舞いが起源ではないかと考えられている浅沢神楽(「山伏神楽」や「里神楽」ともいわれる)。浅沢地区と浄法寺町が隣接していることから、神楽は、交流のなかで浅沢地区に伝わったと考えられています。 保存会結成と神楽の復活  浅沢地区では、神楽は、昭和初期まで民間娯楽として親しまれましたが、先の大戦の影響もあり、途絶えてしまいました。  しかしながら、昭和50年代に国内で郷土芸能の復活運動が広がると、浅沢地区でも、昭和50年9月6日に保存会を結成。当時唯一の伝承者である「斎藤駒吉(こまきち)翁」の指導を受け、浅沢神楽が復活を果たすと、52年4月6日には、旧安代町の無形民俗文化財第1号に指定されました。 節目の舞が観覧者を魅了  節目となった神楽まつりの幕開けを飾ったのは小中学生による「虎の口」。太鼓や笛の音に合わせ、刀や扇を操りながら、荒々しくも、かわいらしい動作で舞を披露しました。  中盤に披露された「小僧舞(こぞうまい)」は、普段あまり披露されることのない演目です。和尚と小僧のユーモラスな掛け合いが会場を温かい笑いで包み込みました。  演目の最後は、浅沢神楽で特に格式が高いとされる「権現舞(ごんげんまい)」(獅子頭が力強く歯を咬む様が特徴的で、縁起の良い舞。獅子頭に咬まれると、無病息災が約束されるといわれる)。雌雄一対の獅子頭が「ガッ、ガッ」と音が響き渡るほど強く歯をかんで打ち鳴らし、舞う様が会場を盛り上げます。最大の見どころは、獅子の姿で現れた権現を「たなぶり」(獅子の姿の権現を誘導する役回りの演者)が操る場面。悪霊を追い払い、荒ぶる権現を、たなぶりが大胆な動きをしながら鎮め、収めていく様が、舞台で躍動的に演じられました。  演目が終わると惜しみない拍手が送られ、まつりを終えた会場では、関係者は、節目の行事をやり遂げた安堵の表情を、観覧者は、充実した舞台発表に満足げな表情を浮かべていました。  浅沢神楽は、今秋に盛岡市の「プラザおでって」でも公演を行う予定です。 インタビュー 浅沢神楽保存会会長 小山田和義さん  今回の神楽まつりを開くに当たり、市にはさまざまなサポートをいただきました。また、これまでの活動の中で、二戸市さんからも、折に触れてお世話になり感謝しております。  浅沢神楽の復活からこれまでを振り返ると、神楽を通じて、浅沢地区が結束を深めてきた面もあると思っています。節目のまつりを開き、あらためて、地域から神楽を絶やすことはできないし、つないでいかなければならないと感じました。  現在、神楽のメンバーは35人(浅沢神楽保存会30人、子供神楽会(平成19年5月設立)5人)です。練習日は決めていますが、仕事を持っているので、わずかな時間でも、それぞれ都合のつく時間に練習して、神楽をつないでいます。  今回出演いただいた深山神社神楽さん(二戸市)や高屋敷神楽さん(一戸町)とは、数年前に神楽まつりを見た関係者の方から「自分たちもここで舞いたい」と声をかけていただいて以来のご縁です。私たちは出演の申し出を大歓迎で受け入れ、気兼ねのない交流を続けています。きっと昔の人も、このような形で、地域を超えた文化交流をしていたのではないかなと思います。  私たちは、神楽の参加者を地元の人に限定せず、広く皆さんと一緒に取り組みたいと考えています。神楽を舞いたい、伝統を守りたいという志のある人は、是非、一緒に活動しましょう。 浅沢神楽子供会 佐藤陽真(はるま)さん(安代中3年)  神楽は5歳(保育園の年長)の時から、取り組んでいます。  今回、自分が踊った「虎の口」は、毎年の神楽まつりで披露している演目です。見に来たお客さんは見慣れているかなって思い、今回は大きな動作で踊ろうと思っていました。風が強くやりにくかったですが、うまく踊ることができました。  浅沢神楽は、いろいろな世代が混じって取り組んでいるし、にぎやかなので、とても好きです。