24ページ 輝(キラリ)人 第151回 郷土料理「まんまもち」で令和7年度 岩手県食の匠に認定  佐々木ふち子さん 66歳 (下平笠)  遠野市出身。趣味はものづくり。自身を「もったいない精神が強い」と分析し「布や生地が余っていると何か作りたいって思っちゃう」と微笑む。健康のために始めた卓球で週3回、知人と汗を流す。食改協の活動を「ボランティアだけど、お金や物ではなく、目に見えない部分で得られたものがいっぱいある」とこれまでを振り返る。3人の子どもは独立し、夫と2人暮らし。 先人が育んだ ふるさとの味を伝えていきたい  市食生活改善推進員連絡協議会の会長を務める佐々木ふち子さんが、昨年12月18日に郷土料理「まんまもち」で県知事から食の匠に認定された。八幡平農業改良普及センターからの推薦で、本市では12人目となる。  「うれしいですが、私が特段優れているわけではなく、昔の人から伝えられた料理を受け継いで作っているので、恐縮しています」と控えめに微笑む。  まんまもちは、炊飯器が無かった時代に、残りご飯をおいしく食べるための知恵で、残ったご飯を蒸し器で温めたのち、小麦粉を混ぜ、こねてもち状にし、茹で上げて作る郷土料理。県北地方を中心に農作業の「小昼」(休憩時の一服)として伝えられてきた。  結婚と同時に、夫の実家がある旧西根町で暮らし始めた佐々木さん。まんまもちのことは知らなかったが、夫の祖母が、子どものおやつにと手作りする姿を見て、自分も作り方を覚えていったという。  周囲に知人も少なく「もっと料理を学びたい、地域の人を知る機会を増やしたい」と、平成7年に食生活改善推進員連絡協議会(食改協)に入会した佐々木さん。これまでの活動で忘れられないのが、シニアカフェで、自身が作った「まんまもちのみそっぱさみ」を提供した時のこと。「あー、何十年ぶりに食ったぁー」と90歳近いおばあちゃんの目から涙がこぼれるのを間の当たりにし「作って良かった、伝え続けて良かったなぁって感じました」と昨日のことのように振り返る。  令和6年4月には中軽米こう子前会長からバトンを引き継ぎ、食改協の会長になった。コロナ禍を経て、会の活動が変わった部分もあるが「楽しく」を心掛けている。「会員の皆さんから『喜んでもらえて良かったね』という言葉が聞ければ、それでいいんじゃないかなって」とも。  「今は、ちょっとお金を出せば食材が手に入る時代。郷土料理がテーブルに上がる機会は少なくなっていて、作ることができる人がいなくなってしまう可能性すらある」と危機感を強める佐々木さん。食の匠の認定は「郷土料理が無くなってしまわないよう、広める使命をいただいたということかな」と、その意味を受け止めている。  「食べることは、誰にとっても切り離せない営み。食改協の活動や郷土料理を伝える取り組みが、皆さんのためになれば」と穏やかな語り口にも力が込もる。 編集後記  冬季五輪に臨む選手を、テレビを通じて応援しました。前回大会を終え、出場が確約されているわけではない次の大会に向け、4年間トレーニングを積み重ねた選手には、不安やケガなど、画面に写らない苦労や、本人、関係者の努力があったと思います。雪のシーズンはもう少し続きますが、ふるさとでゆっくり休んでほしい気持ちでいっぱいです。(智)  ご厚意で、キラリで紹介した食の匠の佐々木さんが作ったまんまもちを試食。もちもちとして食べ応えがあり、とてもおいしくいただきました。まんまもちの作り方は県のホームページで紹介されていますので、調べてみてください。(千)