24ページ 輝(キラリ)人 第149回 東北清酒鑑評会に出品した純米酒が最優秀賞を受賞  株式会社わしの尾 代表取締役 工藤朋(とも) さん 46歳  8代目蔵元。妻、4人の子どもと暮らす。東京大学大学院を中退し、平成19年4月に株式会社わしの尾に入社。26年から代表取締役を務める。最近では、海外からのお客さんも増え「八幡平市で働いて、ここまで英語を使うことになるとは考えていませんでした」と語るが「日本酒の魅力を伝えることができて楽しい」と笑みを浮かべる。 知ってもらい、足を運んでもらえる酒蔵に  7年東北清酒鑑評会(仙台国税局主催)純米酒の部で、株式会社わしの尾が出品した純米吟醸酒が、最優秀賞に輝いた。同社代表取締役の工藤朋さんは「他にはない味わいを感じていただいたことが、良い評価を頂いた理由なのかなと思います」と受賞理由を分析する。  同鑑評会は清酒の製造技術と品質向上を目的に、毎年秋に開かれる。他の蔵元が、酒米の王様と呼ばれる山田錦(兵庫県品種)などを使った酒を出品するなか、同社は、できるだけ岩手にこだわったお酒を出品してきた。前回の鑑評会には酒米に「結の香」(県品種)を用いたほか、酵母、こうじ菌も岩手生まれのものを使ったオール岩手の純米吟醸酒で臨み評価員特別賞(2位相当)を受賞。今回は酒米に、結の香が開発される以前からある県品種「吟ぎんが」を用い、酵母、こうじ菌も前回同様にこだわって臨むと、東北6県122の酒蔵から出品された141点の中から、同社史上初めて最優秀賞の評価を得た。  江戸後期、文政12(1829)年から続く蔵元の家に生まれた工藤さん。「既にあった酒蔵を譲り受けて創業し、雫石町から婿養子を迎えたとも聞いています」と同社の成り立ちを語る。父で7代目。家業を継ぐことについて「小さいころから、会う人、会う人に言われ『そういうものなんだなぁ』と思っていた」と言う。「深く考えていなかったですね」とも。  家業に携わる前は、県外の大学院で工学を学んでいだ工藤さん。祖父が亡くなったこともあって帰郷し、平成19年から同社で働き始めた。「失敗はたくさんあったが、失敗を学びに代え、次につなげてきた」とこれまでを振り返る。醸造学を学んだことはなかったものの「酒造りも、大きく見れば、ものづくり。大学で学んだ工学の範疇」と考えている。  現在、取り組んでいるのは、常温保存でも美味しい日本酒造り。「フレッシュで美味しいお酒」が人気だが、そのようなお酒は味わいが変わりやすく、冷蔵保存する必要がある。「常温保存でも美味しい酒を造ることができれば、より多くの人に美味しい日本酒を届けられる」と先を見据える。  酒造りの面白さを「伝統的な産業ですが、いまだにいろいろな発見があります」と語る工藤さん。「わしの尾は、地域に支えられ続いている酒蔵。他の地域から八幡平市に足を運んでいただくきっかけになるような酒蔵を目指したい」と思いを描く。 編集後記  県中、高スピードスケート大会の取材で県営スケート場へ。勢いよくスタートした選手は、バックストレートでさらに加速。カメラを構える自分の方に、ロケットのようなスピード感で向かってくる選手から、躍動感と息遣いが伝わってきました。  子ども議会を取材しました。大勢の大人の前での発表は、とても緊張したかと思います。前を向いて、大きな声で意見を発表した児童の皆さんの姿は、とても凛々しくかっこよかったです。  人前での発表や人と目を合わせて会話をすることが苦手な私。皆さんを見習いたいものです。(千)