24ページ 輝(キラリ)人 第148回 全日本ホルスタイン共進会(北海道安平町)リードマンコンテストでセカンドベストリードマン(準優勝)に輝いた 藤田梨愛(りな)さん 18歳(松尾)  盛岡農高3年。両親と兄、妹の5人家族。趣味は音楽を聴くこと。美容のため、夜のストレッチを欠かさない。毎朝、5時から7時まで牛舎作業を手伝ってから登校する。「牛に蹴られたり、思い通りにいかなかったりして」泣いたことも。「明るいけど短気」と自己分析。好きな言葉「努力は裏切らない」 一頭一頭を、責任を持って育てられる人に  「まさか自分が選ばれると思っていなかったので、とても嬉しかったです」と声を弾ませるのは、第16回全日本ホルスタイン共進会(10月24日北海道安平町)で併催された、牛を引く技術を競う「リードマンコンテスト」高校3年生の部で、セカンドベストリードマン(準優勝)に輝いた藤田梨愛さん。集大成の大舞台での「思ってもいなかった」成果は、今後の進路に向け大きな弾みとなった。  「赤ちゃんのころ、母におんぶされて牛舎デビューです」とニッコリ笑う藤田さんは、約120頭のホルスタイン牛を飼養する酪農家に生まれた。「物心ついた時には牛舎で手伝いをしていた」といい、将来は牛に関わる仕事に就きたいと、県内で唯一、ホルスタイン種のいる盛岡農高を進学先に選んだ。  入学前まで「牛舎の手伝いはコツコツとやってきたけど、牛のことは何も知らなかった」と振り返り「牛のからだを学ぶにつれ、命の大切さを実感した」と3年間を思い起こす。  学校では、育てた牛を、課外授業で各地の共進会(品評会)に出品している。藤田さんは、会場で審査員の指示に従って牛を先導し、飼養状況を見せるリードマンを1年生の時から務めてきた。 今大会への参加は、出場枠を持つ学校が藤田さんの経験の豊富さを見込み「自分を選手として選んでくれた」という。  出場が決まってからは、ほぼ毎日、学校の牛舎で先生から牛のきれいな見せ方、立たせ方を教わった。自分でも「うまくいった時は撫でてあげたり、歩かない時は、口で音をたてたり、自分の行動で牛に理解させよう」と練習してきた。  現地移動前の練習がうまくいかず「とてもガッカリした」という藤田さん。「たくさん練習したから気合で頑張ろう」と思い直し、臨んだ大一番で準優勝が確定すると、ライブ配信で大会を見ていた先生や友だちから早速連絡をもらった。 「結果もだけど、『おめでとう』『うれしくて鳥肌が立ったよ』とみんなが喜んでくれたことも、うれしかった」と大会当日を思い出す。  高校卒業後は、同校の特別専攻科に進み、人工授精師の資格取得を目指すという藤田さん。将来は、実家の酪農を支えたいと考えている。「常に牛の様子に気を配り、牛一頭一頭の命に責任がとれるよう、畜産をより詳しく学んでいきたい」と高みを目指す。 編集後記  平舘高校が、地域に広め、小中学生にもつなごうと取り組んでいる「ムラサキ」の伝承活動。今年も植栽のほか、寺田小、平舘小、平笠小の児童が「紫根染」を体験しました(表紙21ページ参照)。家政科学科の生徒が小学生児童に教えるっていうのがポイントで、とても素敵だと思います。ずっと続いてほしいですね(智)  叙勲や表彰を受けられた皆さんを取材(4から5ページ参照)。限られた時間の中でお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。在職中を振り返り一番印象深かった出来事や、働く際の心構えなどさまざま語っていただきました。思い出しながら、楽しそうにお話しされている姿がとても印象的でした。(千)