24ページ 輝(キラリ)人 第147回 「八幡平ひつじ」の生産に昨年から取り組む 「狩野ファーム」代表 狩野高志(かりのたかし)さん 51歳(金沢)  福島県出身。動物用医薬品製造販売会社の社員として北海道や岩手県内で勤務ののち、令和3年4月に庄蔵商店として独立。昨年から羊の飼養を行う「狩野ファーム」として新規就農。羊舎から出るふんで堆肥を作り、ニンニク「八幡平バイオレット」の栽培も手がける。モットーは「やらない後悔はしたくない」。 羊を通じて、どんな魅力を発信できるか思案中  「八幡平市にあるものを使って育てた、地域を感じられる羊肉を生産したい」と意気込むのは、昨年から岩手山の麓で羊を飼育する狩野高志さん。地元のさまざまな企業から提供された「麦芽かす」や「酒かす」、「バジル」をエコフィードとともに与えて育てた羊肉は臭みが無く、やわらかくておいしいと好評だ。  もともと会社員として、県外で動物用医薬品の販売に携わっていた狩野さん。岩手に赴任し、キャリアを積み重ねていた中、畜産農家に市内の古民家物件を紹介される。営業で市内を回り「いつかは岩手山の麓で暮らしたい」と思っていたこともあり、眼前に広がる景観をとても気に入り物件の購入を決めた。「この広大な土地に羊を放したら景観がすごく良いなぁと思った」とも。  その後、24年間務めた会社を退職。独立し、牛舎の防虫対策などを請け負う会社を営みながらも、羊への思いを温め続けていた狩野さん。独立から3年後の昨年春に、農地を使わないかと畜産農家から打診されると、羊の飼養を決意。「市内には、羊に取り組んでいる農家がいないっていうのもポイントだった」と語る。  羊9頭を導入しスタートした事業は、現在39頭まで拡大。「愛情をたっぷり注いでいます」と目を細める。育てた羊はオリジナルブランド「八幡平ひつじ」として、9月20日から松っちゃん市場でマトン肉の販売を始めたほか、同日の市産業まつりでは一般向けに、初めて試食販売を行った。「牛肉みたいにやわらかくておいしい」と、評判の良さに「間違いなく、市の新しい特産物になれる」と手ごたえを感じている。  来年には100頭、4年後には400頭に頭数を増やす計画で「羊を通していろんな人や企業、地域とつながり、その輪を広くしていくことが目標」という狩野さん。来年春には、借りた1.5ヘクタールの農地に羊を放牧する予定で、いずれは「羊を中心に、人が集まる場所として、観光牧場を開きたい」と考えている。雄大な岩手山を前に「羊で、どんな商品が作れるか、どんな魅力を発信できるか」とアイデアを膨らませる。 編集後記  市戦没者追悼式の紹介に併せて、市内ご遺族のお話を記事にさせていただきました(4ページ、5ページ参照)。  三浦さんは、周囲への感謝を何度も口にされていたのが印象的で、また、山本さん宅の壁に掛けられている「手紙」にも心を動かされました。忙しい中、取材に対応していただき大変ありがとうございました。(智)  キラリの狩野さんを取材。羊に対する思いをたくさん聞かせていただきました。飼料の香りを嗅がせてもらいましたが、フルーティーな良い香りがしてびっくりしました。帰りに狩野ファームのお肉を買い、自宅で焼いて食べたところ、やわらかくておいしいと家族にも好評でした。皆さんもぜひ。(千)