2から3ページ 試験栽培から10年 ルワンダで躍進 プロジェクト開始から10年祝う  佐々木孝弘市長と一般社団法人安代リンドウ開発の立花賢生会長など4人は、1月22日から30日までの日程で、ルワンダ共和国を訪問しました。  訪問団は、同国からEU加盟国への安代りんどうの輸出を目指し、試験栽培から始まった「切り花りんどうプロジェクト」の10周年記念式典に参加。これまでの歩みを関係者とともに祝ったほか、現地ほ場の状況を視察しました。また、滞在中は、政府関係者に安代りんどう生産への協力などの要望活動も行いました。 6年間で生産出荷が13倍に  ルワンダでのリンドウ栽培は、平成26年11月に、市、みずほ情報総研、岩手大学と共同で、栽培可能性調査を始めたことがきっかけです。その後、平成28年2月には、リンドウなど切り花の生産を目指す現地生産法人ブルーム ヒルズ ルワンダ(代表取締役 原田俊吾 BHR)が現地に設立され、ルワンダで試行錯誤しながら取り組みを進めてきました。平成30年5月には、栽培した切り花をオランダにあるアールスメール花市場に試験出荷し、高い評価を受けると、平成31年1月には、市、BHR、安代リンドウ開発の3者で現地栽培契約を締結し、商用栽培を開始しました。最初のシーズンとなる令和元年は11万本を輸出。その後輸出量を増やすと、昨シーズンの輸出量は140万本を超えるまでになりました。  7シーズン目を迎えた今期は、オランダの花き市場に向けて、200万本以上の輸出を目指しています。 市、ルワンダ相互の利益に  安代りんどうの海外展開のポイントは、知的財産の輸出にあります。これは生産物の海外輸出ではなく「安代りんどう」のオリジナル品種を現地で栽培し、ここからブランドのロイヤリティ(許諾料)を得ることにより生み出される資金を品種改良に活用。生産者に利益を還元する経済の好循環を図ろうとするものです。さらに、このような現地生産の取り組みは、ルワンダにおける雇用機会の創出にもつながっており、現在、最盛期には1日500人程度を雇用して生産活動を展開しています。 新たな展開に向けた取り組み  訪問団は、安代りんどうのライセンス使用者である株式会社R-GATE(アールゲート)八幡平(代表取締役 佐藤芳之(よしゆき))とJICA(国際協力機構)が新たにルワンダに整備した培養施設の開所式にも出席しました。これは新たな事業として、これまでの切り花ではなく、同国で生産した挿し芽をEUに輸出。これをもとにEUで鉢物リンドウを生産することを目的にしたものです。  鉢物リンドウは、切り花とは違った魅力と用途があり、安代りんどうのEUでのさらなる普及の可能性を持っています。市は、新たな取り組みが成功するよう、今後も支援していきます。 ルワンダでの取り組み 2014年11月 ルワンダ共和国でリンドウの栽培可能性調査を始める。 2015年1月 八幡平市オリジナル品種の試験栽培を実施。 2016年2月 リンドウなど切り花の商用生産を目指す現地生産法人BHRを設立。 2018年5月 同国で試験栽培した切り花リンドウをオランダ市場に試験出荷し、市場で高評価を得る。 2019年1月 BHRと八幡平市オリジナル品種の栽培契約を締結。現地での安代りんどうの商用生産を開始。 2019年6月 生産1シーズン目が終了。切り花リンドウ11万本を輸出した。 2024年6月 生産6シーズン目が終了。切り花リンドウ142万本を輸出した。 2024年10月 切り花リンドウの生産7シーズン目が始まる。 2025年1月 佐々木市長など4人が同国訪問。「切り花りんどうプロジェクト」の10周年を祝う。 EUでの鉢物リンドウ生産を目的とした培養施設が完成。 安代りんどう 海外展開の軌跡 ニュージーランドでの挑戦  平成4年(1992年)に、旧安代町の生産者が通年栽培を目指し、ニュージーランドを訪問したのが交流のきっかけです。安代りんどうの生産は、平成10年(1998年)2月に開催されたスキー国体の会場に飾る花を、日本と季節が逆となる南半球のニュージーランドに生産委託したのが始まりです。  その後は、同国内で安代りんどうを生産し、EUへの輸出を行いましたが、現地生産者の高齢化により事業は拡大に至りませんでした。 オランダでの挑戦  平成14年(2002年)にオランダへの輸出を開始しました。  航空運賃など採算性の面から現在は行っておりません。 チリでの挑戦  ニュージーランドでの生産の過程で、チリ国内の農業者と交流が生まれ、同国での現地生産に取り組みました。平成22年(2010年)のチリ地震でほ場が被害を受け、事業拡大には至りませんでしたが、事業をきっかけに、同国原産の「エンジェルウイングス」が本市で生産されることとなりました。日本国内では本市でのみ生産が認可されています。 現地での切り花生産を伸ばしていけると感じた  一般社団法人 安代リンドウ開発 会長 立花賢生(けんせい)さん  ルワンダ訪問は、今回が2回目です。元から農業が盛んな国というわけではないのでゼロから始めている部分もありますが、さまざまなことにチャレンジしながら取り組んでいました。日本と異なり、労働力の確保も見込めることから、今後も生産を伸ばしていけると感じました。  海外展開を始めた当初から、安代りんどうのブランド化を目指してきました。EUで、リンドウといえば 安代りんどうが代名詞となるように引き続き取り組んでいきたいと思います。