2から5ページ 次の20年を見据え 明日へつなぐまちづくり 令和6年度施政方針を紹介  令和6年市議会第1回定例会は、2月20日から3月19日まで、市議会議事堂で開かれました。  議会初日に、佐々木孝弘市長が6年度の施政方針を述べました。本号ではその概要を紹介します。 地域の活気を取り戻す  昨年を振り返ると、5月に、国では新型コロナウイルス感染症を、感染症法上の季節性インフルエンザと同じ5類へ引き下げ、コロナ禍明けを見据えた社会経済活動の再生に取り組むとしました。当市においても段階的な規制の緩和によって、自粛ムードだった観光事業や規模を縮小していたコミュニティセンター活動や行事などが再開され、少しずつまちの活気を取り戻すことができました。今後も、安心して日々の暮らしを営み事業活動が継続できるよう、全力で対策に取り組んでまいります。  当市の令和5年度の人口動態は、転出が転入を上回る社会減の傾向が緩んできたものの、死亡者数が出生数を上回る自然減が拡大傾向で、少子高齢化という日本全体の流れが、当市でも例外なく表れているものと捉えています。  このように、あらゆる物事が激変していく中、常にその変化に臨機応変に対応していくことが重要であると考えています。「明日へつなぐまち」の実現に向け、これまで取り組んできた行財政改革の成果などを生かし、子育て世帯への切れ目ない支援策を充実させ、市内外の人から「子育てしやすい」「住みたい」「住み続けたい」と感じていただけるまちづくりに、取り組んでまいります。 6年度の主な事業概要 移住定住促進 7年度設置予定の移住定住センターの体制づくりに向け、移住コーディネータ―を新たに任用。移住相談や情報発信を強化  空き家、宅地バンク制度の利活用促進のため、市民向けセミナーを開催  地域おこし協力隊(新規任用予定者含む)の活動を支援 子育て支援  妊娠期10万円、出産後50万円を支給する出産、子育て応援給付金を継続  出産後の心身のケアや子育てに係る不安の解消のため、助産師などによる産後ケアや産婦人科医、小児科医によるオンライン医療相談を継続  在宅で育児を行う世帯に、市子育て応援在宅育児支援金の支給を継続 農業分野  水田活用 県の奨励品種「銀河のしずく」など品種の適正配置による、良質米の生産に向けた支援などを推進  園芸振興 振興作物の生産性向上や高品質化に向けた施策の推進と、新規栽培や規模拡大への支援を継続  花き振興 安定した生産が行えるよう、温暖化などの環境変化に対応した、株持ちが良く、病気に強いリンドウ品種の開発に取り組むとともに、国際協力機構と連携し、EUでの鉢物リンドウ生産の体制づくりを促進  畜産振興 市営牧野の環境改善を行うとともに、繁殖育成センターへの預託頭数増加に向け関係機関と連携  農村振興 県営農業農村整備事業により、3度からほ場整備が行われている後藤川地区に続き、4年度に採択となった戸沢地区の面的工事を予定。両地区とも9年度の事業完了に向け、事業進捗に連携、協力  林業振興 森林施業を実施する森林所有者への支援を継続するとともに、森林環境譲与税の活用により、林業就業者への支援や林業施業を促進  森林環境譲与税の活用 林業就業者への支援や森林施業の促進を図り、さらなる森林の適正管理と持続可能な森林経営を推進 商工観光分野  観光振興 海外旅行代理店などとの連携を強め、台湾をはじめとしたアジア圏の旅行者のほか、オーストラリアや欧米などの市場開拓を引き続き推進  高付加価値なインバウンド観光地づくり 当市が北東北の観光拠点となり秋田県、青森県の観光地を持つ自治体と連携し、観光地域の価値を上げていく体制を整備  工業振興 設備投資と雇用の拡大に取り組む事業者を支援するほか、新規誘致のための適地調査に取り組む  起業志民プロジェクト 市内起業者と連携し、ICTを活用した医療や福祉など地域課題を解決する仕組みづくりや事業拡大に必要な人材育成に取り組み、成長産業を創出  商業振興 大更駅前沿道の商業用地の分譲に取り組み、地元商店街、市商工会とともに賑わいづくりを推進  物産振興 地場産品の消費拡大を目指し、首都圏での販路の開拓や認知度の向上に取り組む 健康づくり  生活習慣病予防事業 医療用ウィッグに加え、乳房補正具の購入費助成を行い、がんに罹患された人の治療と仕事や社会参加などへの両立を支援  予防接種事業 新型コロナワクチン接種の定期接種の対象者に対し、接種費用の一部助成を実施  高齢福祉 高齢者福祉計画に基づき、フレイル予防のための健康教室開催や、シルバーリハビリ体操を行う通いの場の増加に努めるとともに、認知症の人を地域で支える体制の強化のため、認知症サポーター養成講座の開催や、買い物応援マークの普及を継続  成年後見制度 成年後見センターでの相談支援の充実と、ネットワーク会議における、制度の利用促進や関係機関との連携を推進  個別避難計画 災害発生時に避難行動要支援者が迅速に避難することができるよう、地域と連携し個別避難計画の策定を促進  市立病院 安代診療所および田山診療所と連携し医療提供体制の充実を図るとともに、地域医療を守る拠点として、変化する医療環境に対応した感染外来対応医療機関の機能を維持 教育、文化、スポーツ 教育研究所 市内小中学校教職員の研究と修養の充実を図るとともに、学校公開研究会の実施や研修会を実施  高校の魅力発信 県立平舘高等学校の入学者を増やすため、高校の魅力発信事業に取り組む  生涯学習 多様なニーズを考慮し、生涯学習講座メニューを充実  文化伝承 安比川流域の漆文化について、二戸市と協力し市内外に向け情報を発信  スポーツ活動の推進 全世代が、スポーツに参加できる環境の整備に向け、統合型地域スポーツクラブへの支援を実施 環境衛生  生活系ごみの減量化 地域において説明会を開催し、ごみの分別収集の啓発と資源化を推進  プラスチックごみ 分別収集および施設規模などについて、調査を推進 コミュニティ  各地域振興計画を実現するために、地域の現状を再確認し、各地域振興協議会と協力しながら課題解決や集落の活性化に向けた取り組みを支援 まちづくりの目標を支える社会基盤整備と行政経営方針 地域公共交通 新たに策定する市地域公共交通計画に基づき、持続可能で効率的な地域交通体系の構築を推進  (仮称)スマートインターチェンジ 東日本高速道路株式会社との基本協定および細目協定に基づく年度協定の締結により、用地測量や物件移転調査を実施  都市計画 都市計画道路大更駅前線沿道用地の要措置区域の解除に向けて、土壌改良業務を継続実施  道路整備 市道山子沢線整備事業などを継続して推進  除雪対策 冬期間の安全な交通を確保するため、除雪車両を更新し、各地区の実情に応じた除雪を行う  市営住宅 市営町裏第二住宅および市営湯沢住宅の改修工事を実施  水道事業 県産業廃棄物最終処分場整備に伴う配水管布設工事や水道施設の更新を継続して推進  下水道事業 公共下水道事業の管渠整備を継続  下水道施設 設備更新に取り組む  空き家対策 所有者などによる適正管理を原則に、助言や指導などを行うとともに、令和5年度から実施している空家解体助成を継続  広域での連携と交流 盛岡広域中枢都市圏ビジョンに基づき、生活関連機能の供給体制を強化し生活の安心の向上を図る  協働による行政経営 第3次市総合計画策定に向け、市長とのテーマトークなどを行い、市民の声を市政に反映していけるよう努める 7つの重点施策に取り組みます 1 大更駅前の賑わい創出  移住定住センター、子育て支援施設、図書館などを配した複合施設「(仮称)大更駅前顔づくり施設」の建設に着手します。 2 地域新電力会社の設立  地熱発電など再生可能エネルギーの地産地消による電力資金の域内循環を図り、企業誘致につなげていきます。 3 農業政策  親元で就農する人が、農業経営を円滑に継承し、地域農業の担い手となっていくよう、親元就農者への支援に取り組みます。 4 物産振興  高品質な農作物や伝統に根差した漆器工芸などの魅力発信を強化していきます。 5 観光振興  観光による経済活性化を促進し、豊かな大自然を体感できる観光地を作っていきます。 6 物価高騰対策  各種給付金や農業動力光熱費の高騰対策、プレミアム付共通商品券事業や訪日外国人誘客促進事業に引続き取り組みます。 7 子育て支援  第2子以降の3歳未満の子どもの保育料について県と連携し無償化を行うなど、手厚い子育て支援策を継続して実施します。