24ページ キラリ輝人 Vol.123 生きる道しるべになった母の励ましを言葉に紡ぐ 第18回啄木、賢治のふるさと岩手日報随筆賞 優秀賞を受賞 佐々木 実 (ささき みのる)さん  66歳  寺田 昭和32年生まれ。鍼灸マッサージ師。趣味は家庭菜園。 好きな言葉は、ことさらに自慢しなくても徳のある人のもとには自然と人が集まってくるという意味の「桃李(とうり)もの言わざれど下(した)自(おの)ずから蹊(けい)を成なす」。  視力を無くした自分を憂い、励まし続けた母への感謝を作品にした「母の言葉」で第18回啄木、賢治のふるさと岩手日報随筆賞の優秀賞を受賞した佐々木実さん。  小学3年生の時、下校途中に飛んできたボールが目に当たった。4回の手術を施したものの視力は著しく低下し、5年生の時に盛岡の学校(現在の盛岡視覚支援学校)へ転入。 見えなくなっていくことへの衝撃や悲しみはとても大きかったと、当時を思い出す。  救ったのは母の言葉。将来の希望を失わせまいと、小さなころの火傷で障がいを負った野口英世を引き合いに出し、声を掛け続けた。 「私にとって大きな存在である母を、自分なりに表現したかった。賞をいただき、母への感謝ができたかな」と思いをはせる。  鍼灸マッサージ師として23歳で治療院を開業し、今年で43年になる佐々木さんは「文芸との関わりは開業してから」と話す。仕事の傍ら創作に励み、24歳の時に初めて岩手芸術祭に小説を応募すると奨励賞を受賞した。 創作から遠ざかった時期もあったが、数年前から再開。創作は一カ月に3作に上るときもあるという。これまで童話や小説など約40作品を書き上げている。  今手掛けているのは童話作品。もともと宮沢賢治の作品が好きで、特に「よだかの星」に共感するという佐々木さん。 創作の根底には「弱いもの、底辺のものでも一生懸命生きているんだという思いがある。一生懸命な人、熱心な人は尊いし輝いている。それを自分は書きたい」と温厚な話しぶりにも力がこもる。 編集後記  こうすれば目を引くかなぁ、と考えていた事を冬ごろから紙面に反映させてきました。一気にはできないので、マイナーチェンジの繰り返しですが、読みやすい紙面づくりに知恵を絞り続けたいと思います。(智)  急に気温が下がり、肌寒くなってきました。みなさん体調など崩されていないでしょうか。私も健康管理に注意しつつ、紅葉を楽しみに待ちたいと思います。(千)  4年振りの地元の運動会。澄み渡った青空と心地よい風の中、中学生の明るい実況放送と「がんばれ!」の声が響き、やっと元気が戻ってきたと実感しました。(福)