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連載コラム(16-5) 祭りから浮かぶ芯

(5)祭りから浮かぶ芯

さあ出発
さあ出発

豊作祭りだー
豊作祭りだー

雨が気持ちいい
雨が気持ちいい
「見せて見せてー」。参加者が撮った写真に興味深々な子供たち
「見せて見せてー」。参加者が撮影した写真に興味津々の子供たち

 そこまで来たら、祭りはもう終わりの気配すら漂わせ始めるのだということを、私は知った。午前11時過ぎ、約60人からなる行列はスタートした。

 幟を持った先頭の男性が「五穀豊穣、稲虫払え、豊作祭りやー」と拡声器で唱えると、男人形、女人形、大太鼓や鐘、氏子と保護者らが、それに続く。

 この日に合わせて道端に植えられた3000株以上の満開のマリーゴールドが、わずか19世帯しかないひっそりとした集落に、過剰なほどの眩しさを放っていた。

 途中、水分補給のため休憩すると、絹のようなやわらかな雨が、頬をやさしく打ち付けてきた。これがとても気持ちいい。雨よ雨よ、もっと降れ。

 「豊作祭りやー」「豊作祭りやー」

 再び進み出した男たちの掛け声は、最後に虫を送り出す村境の打田内川に近づいていくにつれ、激しさを増し、雄叫びと化していく。

 その表情に私は、シャッターを向けずにはいられない。一年のうちで、いまきっと一番カッコイイ表情を浮かべているんだろうなと思うと、胸がどきどきしてくるし、じーんともする。

 保存会では、そんな不思議な畏怖漂う祭りを、集落の関係者以外にも見てもらおうと、今年初めて参加者を募った。

 参加者の一人、盛岡市の川村英一朗さん(44)は長年、東北6県の祭りを撮り続けてきたが、虫追い祭りに流れる空気に、特別なものを感じたと、興奮冷めやらぬ様子で語り始めた。

 「終わったあとの、このすがすがしさ。子供からお年寄り、年代問わず、自然に交流していて、ほんもののお祭りとは、まさにこのことを言うのではないかと感じた。しっかり観光資源化されてしまった祭りも東北には多く、それはそれでいいところがある。でもこうした、純粋な集いや、つながりのために、ごくごく地域で守り続けてきたものは、これからもそのままであり続けてほしいと思うのです」

 そうした参加者らの感想に対し畠山忠光さん(62)は、「集落の人も、よそから来た人と話すうちに、互いに打ち解け合い、表情が生き生きしていくようすが見て取れた。集落のつながりを維持していくには、開けていることも重要。来年もこの交流を絶やさず継続していきたい。交流が広がれば、ほかの地域にもいい影響を与えるはず」と手応えを語った。

 近頃、地域をもっと元気に、だとか、少子高齢化が進んで元気がない、という話をよく聞く。でも、この祭りを見て私は、「地域」という画一的に覆われたイメージみたいなのが変わった。その地域が、元気か元気じゃないかを決める前に、まずはみんな、祭りを見にくればいいんじゃないかな。 

 乾杯の合図に、ジンギスカンやイカ焼きの香りが腹をくすぐる。カラオケ通信機器の前で、小学生女子3人組がアナ雪の主題歌を歌う。さっきまであんなにかっこよかったおじさんは、ただの酔っ払いと化しつつある。それももう、祭りのあと。(今川友美)

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