トップページ  >  組織から探す  >  産業建設部  >  商工観光課  >  連載コラム(16-3) 横間集落の仲間たち

連載コラム(16-3) 横間集落の仲間たち

(3)横間集落の仲間たち

さあ乗るぞ
さあ乗るぞ

風車おじさん
風車おじさん

公文さんに刀作りを教える男性(左)
公文さんに刀作りを教える男性(左)
秘境のようなリンドウ畑に連れて行ってくれたお兄さん
秘境のようなリンドウ畑に連れて行ってくれたお兄さん
お母さんたち
お母さんたち

 祭り当日となった19日午前6時前、JR花輪線・横間駅の無人駅舎に、約20人の男たちが集まっていた。始発電車を待つためだ。
 1965年、150万円の資金を集落内で募り、悲願の駅が誕生した。半世紀たったいま、利用する住民は誰もいない。

 そこで開設50周年を迎えた今年、「祭りに合わせて、みんなで花輪線の始発に乗り、隣の荒屋新町駅まで行って帰ってこよう」という今回の企画が浮上したのだ。

 昨日から撮影に来ている写真家の公文健太郎さん(33)が、線路にひょいと降り、記念撮影。6時14分、電車がやってくると、慣れない「開」ボタンを押し、ぞろぞろと乗り込んでいく。

 「40年ぶりだな」「おいらは17年ぶり」。口々に言い合ってはしゃぎ、車窓からの風景を懐かしそうに眺める。車内はほとんど貸切状態で、小学生の遠足みたいだ。

 予定では、この日のために作成した記念手ぬぐいを、車内の乗客に配る予定だったが、誰もがすっかり忘れていた。駅を降り、あわててすれ違った女子高生たちに手渡すものの、謎の遠足集団からのプレゼントに、女子高生たちが戸惑いながらも冷静に対処しているのがおかしかった。

 帰りは、駅前の駐車場に待機させていた3台の車に分かれて戻ることになった。ワゴン車の中で雑談しながら、ある男性がぽつりと「限界集落」について話し始めた。

 「なあ、横間は『限界集落』なんだってさ。まあ、限界って言葉は、おれは好きじゃないけど」

 限界集落とは、構成人口の50%以上が65歳以上で、農作業や冠婚葬祭などの共同体の機能を維持することが、限界に近づきつつある集落のことをいう。

 だが、その定義にはみな、ピンとこないようす。当事者だけではなくて、私もだった。「限界集落」と「横間集落」という組み合わせは、なんだか不自然なのだ。

 昨日一緒に準備をした人たちの顔が浮かんだ。その人たちは、ほとんどが65歳以上だった。でも、みんな「現役」なのだ。異なった性質を持つ人たちが、それぞれに自分の役割を持っていて、誰もがその役割を最大限に果たして、成り立っているのだ。

 縄を編むのも、藁人形の足や腕を作るのも、舞台の骨組みを作るのも、漬物を作るのも、大量のごはんを研いだり、きりたんぽを作ったりするのも、この集落の人は、なにもかもが65歳以下の私よりも、ずっとずっと現役なのだ。

 朴訥で、ちょっと浮いてるように見えるけど、誰よりもブルーベリーをおいしく食べる方法については、目をきらきらさせて話し出したら止まらなくて、いつの間にか見つけてきたホウノキで風車を作ってくれたり、アブの片方の羽を取って回すと駒になると教えてくれたりしたおじさん。

 このかんじ、なにかに似てると、先日なにげなく読んだ「ムーミン谷の仲間たち」を思い出した。

 誰かが「限界集落の定義は、65歳以上じゃなくて、80歳以上でもいいよねえ」と言って、みんなで笑った。(今川友美)

ご意見・ご感想をお寄せください
郵便番号028-7397 岩手県八幡平市野駄第21地割170番地
商工観光課観光振興係
電子メール shokanka@city.hachimantai.lg.jp

【広告】