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連載コラム(12) 看板メニューのはじまり

看板メニューのはじまり

 冬期閉鎖中の八幡平アスピーテラインの開通にともない17日、半年ぶりに営業を開始した「八幡平山頂レストハウス」。岩手・秋田両県にまたがり、2004年の開業以来、パノラマをドライブする人たちの憩いの場として、登山や春スキーをする人たちの拠点として親しまれてきた。

厨房でカレーを煮込む箱崎さん(左)と、それを見守る夫の義弘さん
カレーを煮込む箱﨑さん(左)と、それを見守る夫の義弘さん

源太カレーうどん、お待たせしました

お待たせしました

営業開始1週間前のレストハウス

雪に埋もれるレストハウス(左奥、10日撮影)

 食堂の「源太(げんた)カレーうどん」は、県産の牛スジ肉を使ったカレーと秋田名物の稲庭うどんとを組み合わせた、ユニークな看板メニューだ。「県境」を示す看板の目の前に位置するこの地ならではの逸品なのはもちろん、2日間かけてとろとろになるまで煮込んだスープは「コラーゲンたっぷり」と評判だ。

 メニューを考案したのは、当時松尾八幡平観光協会長だった戸張昇さん(80)。牛スジカレーとの出会いは、半世紀前にさかのぼる。

 東京・日本橋の金融機関に就職して間もないときのこと、会社の隣にできた洋食屋でカレーを注文した。終戦直後で、牛肉は庶民の手には届かぬ存在だったが「安価な牛スジをカレーで煮込むと、こんなにおいしくなるのか」と衝撃を受けた。さっそく料理好きの妻で故・やすさんを連れていき、「この味を家で再現してほしい」とお願いした。

 51歳のとき、会社員生活に区切りをつけ、娘夫婦と4人で旧安代町に移住、ペンション経営を始めた。昼食がほしいという宿泊客に、すっかり家族の間では定番になっていた牛スジカレーをたまたまふるまったところ、好評だった。そんな折、レストハウス建設の話が持ち上がり、両県の特色を生かしたメニューに「これだ」とひらめいた。 名前は、八幡平のなかでも、高山植物の宝庫で最高の眺望を誇る「源太森」からとった。

 以来、毎年提供するようになり、気付けば10年以上がたっていた。昨年、やすさんが亡くなってからは、娘の箱﨑直美さんが一人で厨房に立つ。あめ色タマネギを焦がさないように弱火でじっくり炒めるところから、10種類近くなるスパイスやハーブの調合にいたるまで、母のレシピはそのままだ。

 午前10時過ぎ、開通を待ちわびた車が続々と麓のゲートをくぐり、雪の回廊や残雪の山並みを眺めながら、山頂を目指していった。食堂は、悪天候のなか、暖をとる人たちでまたたく間に埋まった。「今年もまた、無事に出すことができて、ほっとしました」。カレーを煮込む手をふと止めて、箱﨑さんは語った。(今川友美)

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